今回はSwiftUIで作った自作のUIを外部からアクセスできるようにライブラリ化する方法について書きます。
SwiftUI用のライブラリを作成するためiOS 13 以上を想定しています。
手順
- Swift Package Manager を利用するのでPackage.swift を作る。
- アクセス修飾子に気をつける
- サポートOSに注意する
- タグ付けする
- 新しいSwiftUIのプロジェクトファイルを作成してSwiftPMでインポート
1. Swift Package Manager を利用するのでPackage.swift を作る。
まず始めにXcodeで自作ライブラリをつくる用のプロジェクトファイルを作成します。
Xcodeを開いて File < New < Swift Package を選択します。
新しいプロジェクトファイル名を今回はSampleViewと名付けて、「Create」を選択します。
最初は下のような感じのディレクトリ構成になっています。
- Package.swift (依存関係や環境を記載する所)
- Sources < SampleView < SampleView.swift (実際のライブラリのクラスファイル)
とりあえず、Sources < SampleView < SampleView.swift のSampleView.swift を開きます。
初期のコードはこちらです。
import SwiftUI
public struct SampleView {
var text = "Hello, World!"
}
次以降でこのクラスを編集していきます。
2. アクセス修飾子に気をつける
このページを参考にして、Swiftの5つのアクセス修飾子を大まかに理解します。
アクセス修飾子 | 説明 |
---|---|
open | 別モジュールから呼び出せる。継承やオーバーライドが可能 |
public | 別モジュールから呼び出せる。継承やオーバーライドが可能 |
internal | 同モジュール内からのみ呼び出せる |
fileprivate | 同ファイル内からのみ呼び出せる |
private | 同スコープ内からのみ呼び出せる |
注意することは、このアクセス修飾子を省略した場合はデフォルトとしてinternal
が適用されます。
つまり、クラスや関数の定義でアクセス修飾子を省略してしまうと、ライブラリのユーザーはその省略されたクラスや関数を使えなくなります。
慣れないうちはopen
とpublic
を多用すると思います。
試しにSampleView.swift
に次のコードを書いてみます。
SampleView.swift
import SwiftUI
public struct SampleView {
var text = "Hello, World!"
}
struct SampleListView: View {
var body: some View {
List {
// 一行目
Text("item1")
// 二行目
Text("item2")
// 三行目
Text("item3")
}
}
}
外部からこのクラスを使用する場合SampleView
はアクセスできますが、SampleListView
にはpublicがついていないのでアクセスできません。
この場合は次のように修正します。
SampleView.swift
import SwiftUI
public struct SampleView {
var text = "Hello, World!"
}
public struct SampleListView: View {
public init() {
}
public var body: some View {
List {
// 一行目
Text("item1")
// 二行目
Text("item2")
// 三行目
Text("item3")
}
}
}
3. サポートOSに注意する
自作ライブラリを作る上でよくわからないのがサポートOSの指定についてです。
Package.swiftにもバージョン指定できますし、クラスに@available(iOS 13.0, *)
を記載するやり方もありますので的確なやり方がわかりませんでした。
これは
とSwiftの公式リファレンス
を見るとだいたい分かるようになりました。
今回はPackage.swift
とSampleView.swift
それぞれに記載します。
Package.swift
import PackageDescription
let package = Package(
name: "SampleView",
platforms: [
.iOS(.v13)
],
products: [
// Products define the executables and libraries a package produces, and make them visible to other packages.
.library(
name: "SampleView",
targets: ["SampleView"]),
],
dependencies: [
// Dependencies declare other packages that this package depends on.
// .package(url: /* package url */, from: "1.0.0"),
],
targets: [
// Targets are the basic building blocks of a package. A target can define a module or a test suite.
// Targets can depend on other targets in this package, and on products in packages this package depends on.
.target(
name: "SampleView",
dependencies: []),
.testTarget(
name: "SampleViewTests",
dependencies: ["SampleView"]),
]
)
SampleView.swift
import SwiftUI
@available(iOS 13.0, *)
public struct SampleView {
var text = "Hello, World!"
}
@available(iOS 13.0, *)
public struct SampleListView: View {
public init() {
}
public var body: some View {
List {
// 一行目
Text("item1")
// 二行目
Text("item2")
// 三行目
Text("item3")
}
}
}
このようにしました。
4. タグ付けする
これでSampleView
プロジェクト用にGithubでリポジトリを作成します。
commitとpushまで完了したら、タグ付けを行います。
タグはx.x.x
の形でないといけないかもしれません。
今回は1.0.0
のようにタグ付けします。
5. 新しいSwiftUIのプロジェクトファイルを作成してSwiftPMでインポートします
タグ付けが完了したら、新しいSwiftUIのプロジェクトファイルを作成します。今回はSampleLib
という名前でプロジェクトを作成しました。
そこに今回作成した自作ライブラリをSwiftPMを使ってインストールします。
無事インストール、ContentView.swift
に試しに次のコードを書いてみます。
ContentView.swift
import SwiftUI
import SampleView
struct ContentView: View {
var body: some View {
ListView()
}
}
struct ListView: View {
var body: some View {
SampleListView()
}
}
struct ContentView_Previews: PreviewProvider {
static var previews: some View {
ContentView()
}
}
着目すべきは
import SampleView
でサンプルで作ったSampleView
ライブラリがインポートできるようになっています。
そして、
struct ListView: View {
var body: some View {
SampleListView()
}
}
ということでViewを継承したListViewを作成してbodyにSampleListViewを宣言しました。
エラーが発生しないことを確認したらビルドすると画面が表示されます。
これで自作ライブラリのとあるモジュールを外部から呼び出せるようになりました。